山手線の駅から見えたイルミネーションを見るためにふと降り立った新宿駅はクリスマスの
せいかごった返していてなかなか前に進めない。予定のない僕は人の並に流されるように、
ゆらりゆらりと改札を通過した。
デパートの前にせり出した通路に、電球で飾られたいくつものオブジェが並んで人はその間
をゆっくりと歩いている。カップルや家族連れははしゃいだ様子で写真を撮り合いみんな
幸せそうだ。
地面に星の形をした模様が浮かび上がって、それを一生懸命追いかける子供とそれを見守る 両親の姿が目に止まる。
夏に友人が子供連れで遊びにきた。人見知りが激しい子だと聞いていたので子供があまり 好きじゃない僕は腰が引け気味だったのだが、いざ来て見ると妙になつかれてしまった。 何にでも興味津々な彼は部屋のなかをすごい勢いで這いまわりいたずらをするのだが、 それを追いかける手間も、それは嫌なものではなかった。「動き回るから何もできない のよー」と嘆くその友人が幸せいっぱいの表情だったのが印象に残っている。
地面の星を指で押さえて満面の笑みを両親に向ける子はその押さえた星が既にどこかへ移動
していることに気づいてはいない。その笑顔を満面の笑みで迎える両親。ふと僕は、不安に
なる。はたしてこんな幸せな家族になれるのだろうか。
「ねぇ、こんな風景見たくない? てか子供欲しくね?」
数分後、携帯が小さく震えた。
「何突然言ってるの? いまからグーでパンチしに行く(笑)」
思ったより悪くない感触だ。年末に帰ったときにはもう少し真剣に話してみよう。